窓口・渉外お役立ちコラム

月別の税金等の支払い項目を押さえよう

2018.12.03

 日頃から信頼を置いてくださっている組合員・利用者様に対して、税金等の支払い時期にはタイムリーなお声かけをしてお役に立ちたいものです。本稿では、一年間の税金・社会保険料の支払いについて主要なポイントを時系列に整理しました。図表「農家の税務カレンダー」と併せてご参照いただき、業務にお役立てください。なお、記載内容につきましては、各市町村によって異なる場合がある点をご了承下さい。

図表:農家の税務カレンダー

内   容 期限(休日の場合は翌日)
または期間

自治体によって異なる場合があります。
概   要
1月 源泉所得税 (前年7~12月分) (※1)
(納期の特例適用者)
1月20日 従業員等の給与から毎月預かる源泉税を納期の特例を受けることによりまとめ納付できる
給与を受ける人が「給与所得者の扶養控除申告書」を支払者に提出 本年最初の給与支払日の前日 2か所から給与を受ける場合は年間額の高いと思われる主な給与先にのみ提出する
給与支払報告書を従業員の住所市役所等へ提出 1月31日 各人の住民税額計算に使用される
支払調書・合計表を税務署に提出 1月31日 地代家賃、士業への支払等の調書
固定資産税の償却資産に関する申告 1月31日 資産の未償却残高合計150万円未満なら課税なし
住民税/第4期(※6) 1月31日
2月 固定資産税/第4期 2月28日
3月 個人の確定申告(※2) 2/16~3/15 不動産譲渡等、農業以外の所得がある場合まとめて申告
青色申告の承認申請(※3) 原則3月15日
贈与税の申告 2/1~3/15 年110万円超の贈与を受けた人は申告が必要
消費税申告 3月31日 免税事業者は納税の必要なし
4月 固定資産税/第1期 4月30日
軽自動車税 4月30日 自治体によっては5月の場合もある
5月 特別農業所得者の申請(※4) 5月15日 7月の予定納税が不要になるメリットがある
自動車税 5月31日
6月 住民税/第1期 (※6) 6月30日 4回に分けなくても一括納付可能で総額は同じ
7月 源泉所得税 (本年1~6月分) (※1)
(納期の特例適用者)
7月10日 1/20期限と同様
予定納税の減額申請 7月15日 業況不振、災害等により納税見積額減少等が要件
所得税予定納税 第1期分 7月31日 前年の経常的な所得の税額が15万円以上の場合
固定資産税/第2期 7月31日
8月 消費税中間申告 8月31日 前年消費税額48万円超400万円以下の人が対象(注)
住民税/第2期 (※6) 8月31日
事業税/第1期 (※6) 8月31日 一括納付に変更可能で総額は同じ
10月 住民税/第3期 10月31日
11月 予定納税第2期の減額申請 11月15日 業況不振、災害等により納税見積額減少等が要件
所得税予定納税 第2期分 11月30日
事業税/第2期 (※6) 11月30日
12月 消費税の各種届出書 (※5)
・簡易課税制度(不適用)選択届出書
・課税事業者選択(不適用)届出書他
12月31日
(1月4日提出は不適用)
給与所得の年末調整 本年最後の給与支払日
固定資産税/第3期 1月4日

※1 源泉所得税の「納期の特例適用者」における納期限 【1月20日と7月10日】

 従業員への給与支払時に預かる源泉税は、本来毎翌月10日までに納付すべきものですが、従業員が常時10人未満の事業者については、「納期の特例」を申請することにより、6ヵ月分まとめて7月10日(1~6月分)と翌年1月20日(7~12月分)を期限として納付することができます。

※2 個人の確定申告  【2月16日~3月15日(消費税申告期限は3月31日)】

(1)農業事業者の売上高(農業収入)についての注意点

  • ・売上には、出荷奨励金、庭先販売の売上も含めて申告します。
  • ・国、県、市町村などから支給される各種補助金等についても原則、収入に計上します。
  • ・売上げが口座に振り込まれる場合は、手数料や運賃等を差引かれる前の金額で計上しなければなりません。そして手数料等は必要経費として計上することになります(総額主義)。

(2)譲渡所得等の臨時の所得があった場合の注意点

臨時の所得の申告をした翌年は、住民税や国民健康保険料もその分高額になりますので納税資金の用意が必要になってきます。国保は市町村の窓口で一定の長期分割納付の相談ができる場合もあります。

※3 青色申告の承認申請 【3月15日】

青色申告制度とは、信頼性の高い記帳をし、その帳簿に基づいた正しい申告をする人について所得の計算等について有利な扱いが受けられる制度です。
その年分から始めたいときは、その年の始まりの3月15日までに「青色申告の承認申請書」を提出すれば間に合います。平成31年から開始したい場合は平成31年3月15日が提出期限ですので忘れないようにしましょう(新規開業の場合や相続で事業承継した場合は別に定めがあります)。

※4 「特別農業所得者」の申請期限 【5月15日】

(1)特別農業所得者
特別農業所得者とは、その年において農業所得の金額が総所得金額の70%を超え、かつ、その年の9月1日以後に生ずる農業所得の金額がその年中の農業所得の金額の70%を超える人をいいます。特別農業所得者には、予定納税基準額の2分の1を11月30日までに納める特別規定が定められています。

(2)予定納税制度〈参考〉
通常の予定納税制度は前年の経常的な所得の申告納税額が15万円以上だった場合、その3分の1ずつを、7月と11月の2回、前もって納付する制度のことです。上記の特別農業所得者は所得の発生の少ない7月納付が不要になるメリットがあります。

※5 消費税の各種届出書提出の検討時期 【10月~12月】

 下記の消費税の届出書は12月31日が提出期限で、(他の税金関係の期限の定め方と異なることですが、)1月4日提出では適用がありませんので注意が必要です。検討されたい方は慎重に決める必要がありますので余裕をもって専門家に相談されることをお勧めします。

(1)簡易課税制度選択届出書またはその逆の簡易課税制度選択不適用届出書
事業の内容によって、翌年から簡易課税を選択したほうが税額上有利になると見込まれる場合があり、その際は年内に「簡易課税制度選択届出書」を提出したいものです。また逆に現在、簡易課税を選択しているものの、検討の結果、それが来年から不利になると見込まれる場合もありますので、その場合は、「簡易課税制度選択不適用届出書」を年内に提出し、翌年からは原則課税に変更することで節税を行うことができます。

(2)課税事業者選択届出書またはその選択をやめるための課税事業者選択不適用届出書
現在、消費税免税事業者の方が、翌年に事業用建物や店舗貸付用建物を建設予定の場合、多額の固定資産を購入予定の場合等に、「課税事業者選択届出書」を年内に提出しておき、翌年課税事業者になり消費税申告をすると消費税還付を受けられる場合もあります。

6 一括納付等について

(1)国民年金

 保険料は全国一律で、平成30年度で1ヵ月あたり16,340円です。6ヵ月・1年・2年等を単位として前納すると保険料を割引する制度があります。

  • ・現金払いの場合、1年度分を前納すると年間3,480円の割引、2年度分の前納なら2年分で14,420円の割引があります(割引額は年利4%で複利計算した額で、年平均では約1.8%の割引になります)。
  • ・自動振替の場合、振替日は翌月末日ですが、振替日を当月末日(早割)にすると月額保険料が50円割引されます。また口座振替の前納は納付書を使う前納よりも多くの割引を受けることができます(インターネットバンキング、クレジットカード可)。

(2)国民健康保険料

 その年の4月から翌年3月までの1年間(年度)の保険料を6月期から3月期までの年10回で口座振替または納付書により、毎月末日までに収めることになりますが、1年分まで一括納付が可能です。その場合国民年金のような割引はありません。

(3)住民税

 普通徴収の場合、年4回に分けて住民税を納付することとなりますが、6月に一括払いも可能です。一括納付割引はありませんが手間を減らすことができて安心です。

(4)個人事業税

 農業所得は事業税が非課税ですが、他の所得がある方で前年1年間の所得が290万円(青色申告特別控除前)以上の事業者で一定の要件に該当する方は課税され、年2回の納付が原則です(総額が1万円以下のときは、8月にその全額を納めます)。8月末までに一括納付も可能ですが一括納付割引はありません。

(5)所得税と消費税

 銀行口座からの振替納付にする(手続きは3月15日まで)と、所得税、消費税ともに振替日が4月中旬~下旬になります。つまり延滞税が付かずに納付日を遅くすることができます。

以上