窓口・渉外お役立ちコラム

季節の農作業等に合わせた挨拶+一言でトーク力UP

2018.09.03

 来店者に対して、また、ご自宅や圃場を訪問する際、明るく爽やかな挨拶はJA職員にとって欠かせないものです。その何気ない普段の挨拶でも、一言を付け加えてバリエーションをつけることで、会話がはずみ、良い印象をもっていただけたり、良好な人間関係を築けたりします。

 今回は、JAに来店してくださった組合員・利用者や、渉外先で会う組合員とのトーク力をアップするための、JA職員らしい挨拶+一言について、月ごとにポイントを取り上げます。本稿では例を示していますが、地域によっては季節感がずれる場合や、基幹作物が異なる場合もあります。自JAの地域性や、組合員の状況に合わせて、自分なりの表現を見つけることも大切です。

(1月)

 年末年始には、親族が集まることが多いもの。JAで把握している家族構成の情報などから、離れて暮らす子や孫のいる方には声かけの際に話題にしてみましょう。特に、孫の話題には顔がほころぶ方は多いでしょう。こうした話題をきっかけに、今年1年の話し、今後の生活・仕事(営農)などのお考えについてざっくばらんな情報収集をすることにつながるかもしれません。

季節のトーク例:

「あけましておめでとうございます。お正月はお孫さんと楽しく過ごされましたか?」

〈その後の展開例〉

組合員:「今年は天気がよくてよかったね。久しぶりに息子家族が帰ってきて賑やかだったよ」

JA:「毎年の楽しみですね」

組合員:「でもなぁ、孫たちも大きくなって忙しくなるみたいで。今年は一番上が中学生になるし、その先も考えると息子も孫も心配ばかりだよ」

JA:「中学進学ですか。それはおめでとうございます。確かにそのくらいのお子さんやお孫さんがいらっしゃる方からは、受験や学費を心配する声をよく聞きます」

(2月)

 2月は所得税の確定申告が始まります。農業・年金収入等のある組合員は対象者が多いと思われます。また、前年に退職金を受け取った方や、高額の医療費がかかった方なども対象になります。税務相談会を実施しているJAでは、積極的に参加をお勧めしましょう。また、確定申告の相談の機会は、組合員へのライフプランの提案を行うきっかけにもなります。

季節のトーク例:

「そろそろ確定申告の時期ですね。ご準備はされていますか?」

(3月)

 少しずつ寒さも緩み、暖かい日が増えてきます。荒起こし(田んぼを耕す作業)、野菜の播種(種まき)など田畑の準備をするため、購買に資材を求める方も増える季節です。
 春先は、地上の気温に比べて地温の上昇が緩やかです。また、気温の変動が大きく、地域によっては氷が張ったり、霜が降りたりする日もあるため、凍霜害に弱い野菜はタネまきや植付け時期に気を使います。

季節のトーク例:

「ようやく暖かくなってきましたね」
「来週あたりは霜が降りそうな予報ですね」

(4月)

 この時期の露地物では、夏野菜(トマト、ナス、キュウリ、スイートコーン、スイカ、枝豆など)の作付けシーズンです。また、水稲作でも、苗を育てる育苗作業の時期。「苗半作」「苗代半作」という言葉があるように、良い苗づくりがその後の生育に大きく影響するといわれます。

季節のトーク例:

「今年も収穫まで忙しくなりますね」
「そろそろ苗代の準備の時期ですね」

(5月)

 「立夏」(2019年は5月6日)を迎え、暦の上では夏。立夏は、田植えや種まきが始まる時期です。個人農家や兼業農家では、親族が集まって作業する姿も見られます。また、田んぼが広がる地域に水が入ると、周辺の気温が1~2度下がるとも言われます。生育状況に影響する日照や気温などが気になることが多くなります。

季節のトーク例:

「今朝は少し冷えましたが、明日からは暑くなるようですね」
「今年の田植えは今週末のお休みあたりですか?」
「作業にちょうどいいぐらいのお天気だといいですね」

(6月)

 梅雨前線が停滞する梅雨入りの時期。気象庁では、天候の経過や1週間先までの見通しをもとに「梅雨入り」「梅雨明け」の発表を行っています(北海道は明確な梅雨がないため、発表されません)。田畑では植え付けが終わり、育成管理の作業が中心ですが、曇りや雨の日が多く、日照不良で湿度が高い日が続くと、作物の病気が発生しやすくなります。また、雑草の防除も大切な作業です。JAで取り扱う農薬についても簡単な商品知識を得ておくと営農指導員との連携に役立ちます。

季節のトーク例:

「この梅雨寒(空梅雨)ではちょっと心配ですね」
「農薬をお求めであれば、営農担当者におつなぎしますのでお申し付けください」

(7月)

 全国的に順次梅雨明けが発表される時期です。「梅雨明け10日」とも言われるように、梅雨が明けると10日間くらいは夏空と厳しい暑さが続きます。ある程度の日照と気温は農作物の育成に必須ですが、まだ身体が暑さに慣れていないため、農作業中の熱中症対策には十分な注意が必要です。
 夏野菜の収穫の最盛期、また、田んぼでは、中干しを行う時期です。均一に乾かすため、田んぼに機械で溝を作ります。

季節のトーク例:

「今年の夏も厳しい暑さですね。今年のスイカ(時期物の果物があるJAではその話題)はいかがですか?」
「暑い中の作業おつかれさまです。水分と塩分補給をなさってくださいね」

(8月)

 お盆には家族・親族が帰省したり、夏休みの旅行などといったイベントが続きます。実は8月は何かと出費の多い時期。近年は、お孫さんへの「お盆玉」や、翌年4月の小学校入学を前にランドセルや学習机を贈ることが一般的になりつつあります。窓口に、新札での出金を依頼される方が来店したら、お盆の準備かもしれません。
 また、夏の果菜類から、ブロッコリー、ニンジン、ホウレンソウやキャベツなどのといった葉菜類・根菜類など秋野菜の播種が始まります。田んぼでは稲穂の元が形成される時期で、茎や葉の色が淡い緑に変わります。

季節のトーク例:

「今年も暑いですね! 夏休みはどちらかへおでかけですか?」
「新札のご用意ということは、お孫さんたちが帰省されるのですか?」

(9月)

 地域によっては田んぼ一面が黄金色になってきます。収穫間近です。また、畑では、葉菜類・根菜類の育苗・植付け、間引き、追肥等の作業が並行して行われる繁忙期を迎えます。
 台風シーズンでもあり、ゲリラ豪雨等大雨の被害が起こりやすい時期でもあります。収穫、稲刈りと忙しい日々が続く時期こそ、挨拶+一言を大切にしましょう。

季節のトーク例:

「出荷の帰りですか? お忙しい時期にご来店いただきありがとうございます」
「朝夕はだいぶ過ごしやすくなりましたね」

(10月)

 地域によって前後しますが、米の収穫等でまとまった収入がある時期です。農作業が一段落したタイミングで、今後の家計の計画や資産運用などについて話題にすることもよいでしょう。

季節のトーク例:

「作業のほうは落ち着かれましたか?」
「今度、JAで資産運用セミナーがありますが、参加されてみませんか?」

(11月)

 多くのJAで、農業まつりなどを催す時期です。JAへの来店も増えることでしょう。積極的にコミュニケーションをとり、地域の皆さんと顔を合わせましょう。

季節のトーク例:

「今年は寒くなるのが早い(遅い)ですね」
「来週、毎年恒例の農業まつりがあります。ぜひ、皆さんでいらしてください」
「今年も収穫祭の出店、ありがとうございます。ご準備などでお手数をおかけしますがよろしくお願いいたします」

(12月)

 年末には、ボーナス支給、年金支給や、様々な年末の準備などもあり、来店者が増えます。1年のご愛顧に感謝して、お礼の言葉を忘れずにお伝えしましょう。また、来年のカレンダーのお渡しも大切な業務の一つです。
 そのほか、来季に向けて、農機具や施設の買換え、保全等の相談もある時期です。資金が必要になる可能性もありますので、営農担当者との連携が欠かせません。

季節のトーク例:

「年末のお忙しい時にご来店いただきありがとうございます」
「本年も1年大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします」
「来年も事故なく豊作だといいですね。農機買換えのご相談であれば、ぜひ営農センターへご用命ください」