相続相談研修
2022年9月26日(月)~28日(水)の3日間、県域職員を対象とした全国研修「相続相談研修」をオンライン形式で開催しました。本研修は2022年度に新設した研修であり、16県域から19名の参加がありました。
JAバンクでは、JAバンクのコア事業基盤である大口利用者の高齢化が進展するなか、利用者のニーズが高い相続相談についてはJAバンク全体として取組みを強化しています。
信連・統合県支店の受講者がオンラインで受講
研修は品川研修センターを配信会場とし、経済法令研究会 清水暁講師にご登壇いただき、「相続相談業務」を所管する農林中央金庫JAバンクリテール実践部と連携して企画・開催しました。
研修3日間の実施内容や様子は次のとおりです。
初日は、相続相談業務の重要性等について認識を深めました。
「我が国の年間死亡者数は奈良県の人口に匹敵する数にのぼっている」、「またそれにともなう相続対象となる預貯金額は、地銀1行が保有する預金額に匹敵するもので、残高が毎年他行・他業態へ流失していく危機にある」等、講師から現在起きている事象について客観的な数値を用いてわかりやすく説明してもらい、組合員・利用者との生前からその子世代とのリレーションづくりがいかに大切なことであるか等について学びました。そして、個人ワークやグループワークを通して、組合員・利用者の相続資産内容の把握をはじめとした必要な対応を確認しました。
また、昨今の高齢者に起こりがちな事象やよくあるトラブル事例等を交えながら、家族信託、成年後見制度の活用方法と利用するうえでの課題点を学び、組合員・利用者やその家族とのコミュニケーション能力等、担当者に求められる要件等について、グループワークをとおして意見交換を行いました。
二日目は、相続の基本ルールである民法や、2018年の民法改正のポイントについて学ぶとともに、相続人の法定相続分の算出や相続税額算出等の演習を行いました。その後、相続開始後に遺産分割がスムーズに実施されることの必要性、そのための対応策として遺言の重要性について学ぶとともに、相続価格・相続課税額・相続遺留分の算出について演習を行い、理解を深めました。
三日目は、相続で発生する納税等への対処策について講義で学んだ後、事例研究では、居住用不動産の配偶者控除等について、個人ワーク・グループワーク・全体発表を行い、例えば残された配偶者の介護問題も考慮に入れながら相談対応を行う必要性がある等、意見の共有化を行いました。
事例研究の解説では、清水講師の信託銀行勤務経験における、実例を踏まえた失敗談や成功事例を織り交ぜ臨場感たっぷりの説明があり、アンケートでは受講者からは「研修全体をとおして机上の空論ではない説得力があり、大変イメージがわきやすかった」との声がある等、好評でした。
農林中金アカデミーでは、本研修を通じて、県域職員の相続相談業務にかかるJA指導・支援の更なる向上につながること期待しています。
2023年度も開催する予定ですので、県域職員皆様方の参加を楽しみにお待ちしております。
受講者の声
- ◆講師の説明がわかりやすく、大変有意義だった
- ◆相続のニーズに気づくきっかけとなった
- ◆オンラインだったがグループワーク討議があり、他県の参加者との意見交換で新たな視点を得られた
- ◆事例等を混ぜながら進んだので、知識をたくさん身につけられた
- ◆講師の経験や事例を交えての講義で、机上の空論ではない説得力があり、イメージがわいた
担当講師の声
株式会社経済法令研究会
清水 暁 講師
本研修テーマは初めての開催とのことで、事前に農林中央金庫様、農林中金アカデミー様と何度も打合せを行い、カリキュラムや内容を詰めていきました。関係各所の生のお声を頂けたことで、受講生の実態に沿った有意義な研修が行えたのではないかと思います。私自身にとっても、現場の悩みや、JAバンクの取組みにおける考え方、施策整備の現状をお聞きできたことは、有意義な時間・体験であり、今回の研修でも、かなり役立ったものと思っております。
リモート研修でも、なるべく臨場感ある研修作りとしたつもりでしたが、始めるまでは、正直、かなり心配でした。しかし、始めてみると、受講生の皆様の意識の高さが随所に感じられ、リモートながら一体感のある研修となったと実感しています。これは、ひとえに、参加された受講生皆様の意識の高さ故であったかと思います。現場で相続問題に悩む組合員・利用者のお気持ちにどのように応えるべきか、真剣に悩みながらも実践している皆様の思いが研修を支えた、まさに、講師冥利に尽きる研修であったと思います。
一方で、実際に現場の受講生の方の「声」を聴いていますと、さらにブラッシュアップ・改良できる点があるとも感じております。現場で真摯に取り組んでおられる皆様に更に役立つ内容となるよう、磨きをかけていくことが、新たな使命と感じております。この度は、講師としても貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。